賃貸を退去する際のトラブル
賃貸を退去するときのトラブルとして典型的なもので挙げられるのが、経年劣化や原状回復についてでしょう。
経年劣化とは、年月の経過によって品質が下がることを言います。日光が当たることによる壁や床の色褪せや、雨風や湿気によってネジやゴムが傷むといったものが、賃貸物件における経年劣化となります。
また、冷蔵庫やテレビ、ソファやベッドなどを設置したことによってできる床の凹みや壁の電気焼けなどは、通常損耗というものに該当します。
賃貸借契約を締結するにあたり、経年劣化と通常損耗については賃貸人たる大家さんが負担するものとなっています。
他方で、原状回復とは賃借人の居住や使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗、毀損を復旧することを指します。
わざと壁に穴を開けたり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったことでできた汚れなどは、賃借人の責任として修繕費用を負担するというものです。
この修繕費用は一般的に敷金から補填されることとなっています。
最近の不動産屋では敷金を払わなくても良いが、退去時にクリーニング代を請求されるということもありますが、敷金を支払うというパターンが大多数を占めているでしょう。
そして原状回復の費用は敷金から差し引かれて、原状回復費用が敷金を上回った場合には追加の請求、余剰があれば返還がなされるというシステムとなっています。
もっとも、ハウスクリーニング代はあらかじめ入居時に一定の額が設定されていることが多くなっており、よほどのことがない限りは余剰が出るようになっています。
それにもかかわらず、余剰の敷金が返還されない場合の対処方法としては、敷金返還請求が考えられるでしょう。
ここで注意しなければならないのが、家賃を一部滞納していた場合にもこの敷金から補填されるということです。
結果として敷金が0となっている場合もあるため、家賃の滞納がないか、自身で確認をしておきましょう。
また、敷金返還請求権は退去から5年の消滅時効となっています。この期間を過ぎた場合には返還請求をすることができないため、注意する必要があります。
請求の方法としては、内容証明郵便を送付するのが一般的な方法ですが、まずは一度大家さんに電話等で確認を取ることで穏便に済ませられるような場合もあります。
大家さんとの話し合いでも解決しない場合には、消費者センターに相談することも一つの手となります。
内容証明郵便はあくまで最終手段として考えておくと良いでしょう。
神戸ポート法律事務所では、敷金や賃貸に関するトラブルについてご相談を受け付けています。お困りの方はぜひ事務所までご相談にお越しください。