賃料の増額・減額
部屋を借りることはよくあることでしょう。大家さんにお金を払って、大家さんの部屋を使用するために、大家さんとの合意は必要です。
民法上、このような合意は賃貸借契約と呼ばれています。大家さんの部屋を使用するための賃料は、通常賃貸借契約を締結した際に、決められます。
しかし、賃貸借契約の期間はまだ終了していないうちに、急に大家さんに「賃料もっと欲しい」と言われたら、困るに間違いないでしょう。
逆に、部屋の品質により、一部の使用は不能になった場合とか、約束した額の賃料を払いたくなくなるはずです。
大家さんに賃料の増額が請求された場合に、原則として当事者間の合意が必要です。つまり、賃貸借契約が一旦成立する以上、大家さんは一方的に、賃料を上げることは不可能です。「もし多めの賃料を払ってくれなければ、退去してもらい」という話もよくあるが、借地借家法28条により、正当の事由がなければ、大家さんは勝手に成立した賃貸借契約を解約することは不可能です。増額に応じてくれないことは、正当の理由にならないと思われます。
つまり、賃借人は約束したとおりの賃料を払えば無難です。仮に大家さんは受け取ってくれない場合に、供託すれば債務不履行になりません(民法494条1項1号)。ここで注意すべきであるのは、大家さんと揉めて賃料1円も払いたくない場合です。
賃料の不払いは債務不履行になるので、場合によって契約の解除理由になります(民法541条)。
合意が達成できない場合には、賃料を上げることは不可能ではありません。この場合に、裁判を通じて賃料を上げることが可能です(借地借家法32条)。
その一方で、賃料の減額については、減額の理由により、民法上ルールがあります。原則として、建物の瑕疵により、使用に支障が出る場合には、賃料の減額は可能です(民法611条1項)。合意が達成できない場合に、裁判を通じて実現するのは可能です。また、地代の低落により、賃料の減額を請求したい場合には、裁判を通じて実現することが可能です(借地借家法32条)。
まとめると、賃料の減額と増額は原則として当事者の合意によらなければなりません。合意が達成できない場合には、裁判を通じて実現するのは可能です。
借地借家法は借家人に対する保護が比較的に重くて、賃貸人は正当の事由がなく賃貸借契約を解除することが不可能です。
その一方で、借家人は賃料に不満をもっている場合に、契約の解除は比較的に簡単です。少なくとも、正当の事由とかは必要ではありません。
賃料は賃貸借契約によるものなので、賃貸借契約により、特約が存在する場合もあります。
賃料に関して、悩んでいる方は一回専門家との相談をお勧めします。