遺産分割協議に期限はなし|いつ頃までに行うべき?その理由は?
遺産分割協議に法律上の期限はありませんが、10か月以内には成立させるべきです。
本稿では、遺産分割協議を早めに行った方が良い理由について解説します。
遺産分割協議そのものに期限はない
民法第907条には、遺産分割について以下のように定められています。
いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる
引用元:e-Gov法令検索
相続開始から何年経過したとしても、遺産分割協議そのものは有効です。
遺産分割協議を相続開始の翌日から10か月以内に行うべき理由
相続税の申告と納付の期限は、被相続人が亡くなった日またはその事実を知った日の翌日から10か月以内です。
申告や納付の期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税が課される他、相続税が控除される制度を利用できなくなる可能性があります。
そのため相続税を納める必要がある場合には、遺産分割協議を早めに行う必要があるのです。
遺産分割協議をできるだけ早く行うべき他の理由
遺産分割協議を何年も行わないと、相続が複雑になりトラブルが生じる可能性があります。
相続財産の共有状態が続く
遺産分割が完了していなければ、財産は相続人全員の共有状態になります。
遺産分割する前の共有の状態は、預貯金や不動産の名義が被相続人になっているため、その預貯金を使ったり、不動産を売却したりすることができません。
また、遺産分割協議が終わる前に相続人の誰かが死亡した場合、相続人の人数が増えて話し合いがまとまりにくくなってしまう可能性もあります。
相続人が認知症になると手続きが複雑になる
遺産分割協議を何年も行わないあいだに相続人が認知症などを発症し、判断力を失うと法定後見で後見人等を選任するまで遺産分割自体が行えなくなります。
というのも、法律で意思表示のできないひとは遺産分割協議のような法律行為はできないことになっているからです。
そのため相続人に認知症のひとがいる場合には、遺産分割協議を行う前に後見人等の選任が必要となり、通常よりも多く法的な手続きをしなければならなくなります。
相続登記が義務化されるため
遺産分割協議を早めに行った方が良い理由として、2024年4月1日より相続登記が義務になったことが考えられます。
2024年の法改正により義務化された相続登記がされていない場合、10万円以下の過料が発生する可能性があります。
期限は法改正施行日の2024年4月1日または不動産取得を知った日のいずれか遅い日から3年以内です。
相続登記には遺産分割協議書が必要となる場合もあるので、早めの協議成立が重要です。
まとめ
遺産分割協議は、相続開始から10か月以内に行うべきです。
長期間にわたって遺産分割協議をしない場合、相続手続きが複雑になりトラブルが生じるリスクが高くなります。