相続法改正のポイントを分かりやすく解説します!
民法の相続分野については、平成30年7月13日公布の民法改正で、一部改正がされました。改正の理由については、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に鑑み、相続が開始した場合における配偶者の居住の権利及び遺産分割前における預貯金債権の行使に関する規定の新設、自筆証書遺言の方式の緩和、遺留分の減殺請求権の金銭債権化等を行う必要があるという点にあるとされています。改正個所として、まず、配偶者が相続開始の時に居住していた被相続人の財産に属した建物について、配偶者の居住権を長期的に保護するために、配偶者が原則として終身、その居住建物を無償で使用することができる、配偶者居住権という権利が創設されました。
また、遺産分割についても改正がされました。例えば、婚姻期間が20年以上の夫婦間において居住用不動産の贈与等が行われた場合には、配偶者が最終的に多くの財産を取得することができるように、持戻し免除を推定する規定が新設されました。これは、婚姻期間が20年を超える夫婦の一方が他方に対して居住用不動産を贈与等することの趣旨は、通常それまでの貢献に報いるとともに、老後の生活保障を厚くする点にあると考えられ、すなわち、遺産分割における配偶者の相続分を算定するに当たり、その価額を控除して相続分を減少させる意図は有していない場合が多いと考えられるため、贈与等の意図を尊重するためにものです。
遺産分割について、ほかにも改正個所はあり、また、遺言制度や遺留分制度など、相続法の様々な箇所で改正がされているため、注意が必要です。